施設のお母さん
公開日:
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最終更新日:2014/01/13
みんなに聞いてほしい介護エピソード アルツハイマー, グループホーム, 介護
75歳のおばあちゃんのお話です。
おばあちゃんは施設が出来て最初から入居していて要介護も低かったのですが、清潔保持、つまりお風呂にはなかなか入ろうとしませんでした。
私が声掛けしても「もう入りましたから」とお風呂に入らない日がありました。しかし、そのおばあちゃんは面倒見がよく、新しく入ってくる入居者の方には自分から挨拶をしたり、本来ならばグループホームなので、食事は毎食スタッフが準備をするのですが、おばあちゃんは自前のエプロンをし、毎回洗い物を手伝ってくれたりするのです。
おばあちゃんは、洗剤をつけないで洗おうとしますが、そこはさりげなくスタッフがつけて毎回きれいに洗ってくれるのです。それはとてもとても大助かりでした。
後はお風呂問題でした。
ある日、おばあちゃんより若いアルツハイマーの女性の入居者の方が来られました。私が担当していたフロアは80~95歳ぐらいの高齢な方が多かったため、2人はすぐに意気投合し、一緒に座って食事をしたり、テレビを見たり常に一緒に生活をしていました。
新しく入居されたそのおばあちゃんはお風呂が大好きで、グループホームに入居される前も夕方にお風呂に入るのが習慣だったそうです。
そうですよね。家にいる時は、当然お昼からお風呂になんかは入りません。しかし施設はその時間夕食に重なるし、スタッフの人数的に考えても、夕方のお風呂はむずかしいと考えたんです。施設ではよくあることなのだと思います。
そんなある日です。お風呂に入りたい!と新しく入居してきたおばあちゃんが夕方言われました。上司に相談すると「介護度も高くなしし、見守りだけでも大丈夫だからやってみようか」と言ったので入っていただくことにしました。
その時です。「あなたも一緒に入りましょうよ!」とそのお風呂嫌いのおばあちゃんを誘ったのです。おばあちゃんは最初は断っていましたが、私たちも後押しをすると、「じゃあ、入ろうかしら」と言って、一緒に入ってくれたのです。
見守りしていると、2人で背中を流しあったり、湯船に浸かって楽しそうに話をしたりしていました。
あんなにお風呂嫌いだったおばあちゃんが、今では毎日夕方の入浴が日課になっています。
スタッフの力では、なかなかうまくいかないこともいっぱいあるのですが、おばあちゃんにできた新しい「お友達」のおかげで本当に助かりました。
今も二人で仲良くお話されています。
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