いつも無口なおばあちゃんが
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最終更新日:2014/01/13
みんなに聞いてほしい介護エピソード 介護, 認知症
80歳過ぎのおばあちゃんがいました。
ほとんど車イス生活で、手は使えるものの食事や排せつは、介助していました。そのおばあちゃんは、認知症になってからは、ほとんど言葉も発さず無表情でした。
一つすごいなぁって思ったのが、おばあちゃんは箸使いがとてもうまいのです。いつも食事は箸を使って食べるのですが、一粒ずつ、つまんでは口へ運ぶのです。自力で摂取は出来るんですね。しかし、それでは食事に時間がかかってしまい、ご本人さんも疲れて最後の方は寝てしまうので、途中からは介助していました。
そんなおばあちゃんには二人の娘さんがいて、次女さんがいつもオムツがなくなる頃にオムツを持って施設に来てくれます。そうすると、普段は無表情なおばあちゃんが笑顔になり、何を言っているのかは分かりませんが、「ん~っ」と言葉を発したのです。スタッフみんなで振り返って見るほどでした。それからはスタッフもより声掛けをするようになり、笑顔を見せてくれるようになりました。
ある日、施設みんなでお出かけをする日があり、そのおばあちゃんも行く予定でしたが、排便が4日できておらず前日に下剤を飲んでいたので、あぁ、これは出かけ中に下痢をしそうだな、とみんなで話していました。
そんな時です。いつも無口なおばあちゃんが、「ん~っ、ん~っ」というのです。もしかして!?と試しにトイレに座らして、おなかをマッサージすると、チャポンと下痢ではなく普通の便が出たのです。この施設に来て初めてです。
いつも下痢で大変だったろうに、その日は普通の人と変わらない排便ができ、しかも、便意があると伝えてくれたんですね。スタッフみんなで嬉しかったのを覚えています。
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