アルツハイマー型認知症の怖さ
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最終更新日:2014/01/13
みんなに聞いてほしい介護エピソード アルツハイマー, 介護, 認知症
92歳のおじいちゃんの話です。
そのおじいちゃんは一代で会社をおこして成功させた方で、会長までやられた地元では有名なおじいちゃんでした。引退後は余生を送っていたのですが、今まで忙しかった反動で認知症を発症したとのことでした。
施設に入ったことで環境の変化もあったのか、家にいた時より症状が酷くなりました。徘徊もひどくなりところ構わず排泄をしたり、他の入居者さんの部屋に入ったりしていました。女性が多い階だったため、他の入居者さんは怖がっていました。
ある日いつものように徘徊をしていると、他の入居さんに注意され、それで怒りに火がついたようでそばにあったものを投げつけてきました。さすがに、それはいけないことだと私たちも注意すると、なんと、消火器を振り回してきたのです。みんなの安全を守るために家族と話し合い、薬が合うまで入院しましょうとなったのです。
半年くらい入院したでしょうか、落ち着いたとのことで施設に帰ってきました。
顔は一変して無表情になり暴れなくなりましたが、パーキンソンの様に運動障害が出ており、車イス生活になっていました。私たちは、少しでも昔のいい所を取り戻そうと家族と協力して日々リハビリを開始しました。
そんなある日です、昼食を食べている時「あ~あれが、た、食べたい」とゆっくりおっしゃったのです。すぐに、それを口に入れて差し上げると「うまい」と一言。しゃべったぁ!!ついに話せたのです。それからは単語ですが、言葉が出るようになりました。今では暴力的なところもなく、車イス生活ではありますが、以前の入所したての頃のおじいちゃんに戻りつつあります。
アルツハイマーの怖さも知りましたが、ちゃんと対応をすれば、結果はついてくると実感した瞬間でした。
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