初めて勤めた施設で出会ったおばあちゃん
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最終更新日:2014/01/13
みんなに聞いてほしい介護エピソード 介護, 認知症
私が資格を取って、勤め始めたときに初めて出会ったおばあちゃんについてのお話です。
そのおばあちゃんは要介護も重く、大声で叫んでるのが第一印象でした。
施設で働き始めるとまずは「皆さんに挨拶していきましょう」と先輩に言われ、1人ずつ声掛けをしていきました。
その方と挨拶した時は、最初は怖がられて、「ギャーギャー」と大きな声を出されました。
初日からこんな感じで私は勤められるのかなと不安にもなりました。
日々施設にも慣れていき、おばあちゃんともあいさつ程度はできるようになりました。
ある日そのおばあちゃんに息子さん家族が会いに来られました。
おばあちゃんは最初、「怖い怖い!」と言っていましたが、思い出したようで「○○かぁ、よぉきたねぇ」と息子さんの名前を呼んだのです。
そして、息子さんもそれに対して「おばあちゃん、分かるんかぁ。ほらっ、孫の△△も連れてきたよ」と声をかけました。
「おばあちゃん!」とお孫さんが抱き着くと、普段なら暴れだすおばあちゃんですが、よしよしと頭を撫でているではありませんか。
私はその方の優しい姿を初めてみたので、これが本当の姿なんだなぁと感じました。
ご家族が帰られる際、泣きながら「また来るんだよぉ」というので、本当に認知症なのかな?と不思議に思えていました。
また、ある時の夜勤明けの日、私は普段みなさんに声をかけてから帰るのですが、その時に、「あなたがいなくなるのは寂しい。また来てちょうだいね」と泣いていたのです。
私は手を握って、また来ますから安心してくださいね。というと、「よかった。またね」と笑顔で送ってくださいました。私が初めて接した認知症の方でした。
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