認知症のおばあさんが孫の運動会を応援
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最終更新日:2014/01/13
みんなに聞いてほしい介護エピソード 介護, 認知症
台風で一日延期になった小学生の娘達の運動会。一年間楽しみに待っているのは子どもたちだけではないようです。
朝、校門に入るや幼稚園から一緒のお友達のお母さんが私を見付けて声をかけてくれました。今年もご主人の両親のために特等席を取ったとのこと。とても嬉しそうな顔でした。
「すごい!今年も!」
確かそのご両親は遠くに住んでいるのですが、運動会は必ず観戦しにいらしていました。おばあさまの足の具合が悪いと以前話していたので心配していましたが、どうやらお元気のようでした。
この『特等席』とは保護者の間で言っている言葉です。朝礼台側の来賓客テント横にある保護者用のスペース。校庭全体が見渡せるので観戦には絶好の場所です。
その場所を取るために並々ならぬ競争があるのは知っていますが、我が家は座って観戦するタイプではないのであまり関心がありません。
でもゆっくり応援したいならぜひ押さえておきたいところでしょう。
恐る恐るゲットした経緯を訪ねると、なんと朝の4時半から並んだとのこと。またまた驚きです。
そのパワーはどこから来るのかと彼女に聞けば、やはりおばあさまの喜ぶ顔が見たいからだそうです。
連れあいのおじいさまが説明するには、最近のおばあさまは毎日が単調で張り合いがないため、認知症になってしまい、かなり症状の進行が早く家族の顔も忘れてしまうことがあるとのことでした。
ただ運動会開催日はカレンダーに書き留めてあるらしく、電話するごとに話題になっていたのは事実。
それなら今年は特に気合いを入れてとらなければと友人は感じたようです。
一年に一度のワクワク・ドキドキ刺激になるイベントは、ベストポジションで見せてあげたい。
親孝行だなあとつくづく感じました。
おばあさまは認知症がかなり進行しているので、当然お孫さんのことも忘れているだろうと思っていたようなのです。
しかし、いざ運動会が始まると、お孫さんの顔だけはしっかり覚えていて、ずっと大声でお孫さんの名前を呼んで応援されていました。
認知症であったとしても、大好きなお孫さんだからこそ、強い想いがあって覚えていらっしゃるのだと感じました。
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