覚えていてくれたんだね、お婆ちゃん
私の亡くなったおばあちゃんの話です。おばあちゃんは102歳という長寿でなくなりました。おばあちゃんは80歳過ぎまでわらじを編んでいてとても元気でした。
一人で食事も、お風呂もでき、何でも一人で出来ていたので何の心配も要らなかったのですが、年をとるにつれ今まで出来ていたことが一つずつできなくなり、ついには人の区別もつかないほどになってしまいました。
何が原因か、、、
それは、おばあちゃんの実家を建て直したことにありました。孫が結婚をし、二世帯ならぬ三世帯住居に建て直しをしたのがきっかけです。全てが便利になったのはいいのですが、場所が変わってしまった為、段々認知症の症状が出始めたのです。しかもお婆ちゃんは難聴のため耳が遠く会話もままなりません。
別世帯で私は暮らしていたのですが、会いに行っても寝てばかりで話すこともできませんでした。目だけは良かったので、お土産を置いて、置手紙だけして帰る日々が続きました。トイレには行けるのですが、食事やお風呂はホームヘルパーさんに来てもらう日々が始まりました。でも、昔かたぎの人間なため、人の手伝いを嫌います。止めろっ!!とよく困らせていたようです。
私もヘルパーの資格を持っており働いていた経験がありますが、プライドが高いのです。ある日、仕事帰りに寄ってみようと行ってみました。家に入ってみると、ちょうどトイレが終わったようで、紙パンツがおしり半分までしか上がってなくて、そのままでうろうろしていました。
部屋にはお婆ちゃん一人きり「お婆ちゃん。。」つい私は泣いてしまいました。そして、後ろからそっとパンツをあげると、おばあちゃんはゆっくり振り返り、「あぁ、○○かい。ありがとう」と私の名前を呼んだのです。普段は誰かも区別つかないおばあちゃんが、名前を呼んだことにまた泣いてしまいました。
その後数日経ち、急変しておばあちゃんは亡くなりましたが、親戚みんなに話しても誰も信じてはくれない位です。私とおばあちゃんの二人だけの秘密です。
皆様いかがでしたでしょうか。今後も定期的に「介護のおはなし」を更新していきたいと思います。
介護のお話は、皆さんの実際の体験を元に作成されているものです。皆様のエピソードも当サイトに掲載してみませんか?
ご興味ある方はこちらまでご連絡を
koukennabi@gmail.com
関連記事
-
-
昼夜逆転のおばあちゃん
まもなく90歳になろうかというおばあちゃんの話です。 そのおばあちゃんは要介護も高く、車イス生
-
-
お父さんいかないで・・・
私の母方のおばについての話です。 おばは長年パートで飲食店で働いており、朝、息子さんのお弁当を
-
-
ちょっと、コイコイ!
90歳過ぎたおじいちゃんの話です。 そのおじいちゃんは、ご夫婦で施設に入居されておりましたが、奥さ
-
-
認知症になったお隣のおじいちゃん
長年自治会長を務められたとお聞きしましたから人望と責任感がある方だったのだと思います。お隣の
-
-
90歳までところてんを作っていたおじいちゃん
知り合いのおじいちゃんの話です。そのおじいちゃんは90過ぎまでひとり暮らしをしており、一人で朝早
-
-
認知症お世話になった方々
大学生の頃、都内の郵便局に勤める知り合いのおじさんがアルバイトとして私を採用してくれました。おじさん
-
-
認知症の伯父と結婚早々同居
三歳年下の従妹と一緒にいると心が和みます。 小さい頃から明るくて歌が好きでマイペース。親に怒ら
-
-
いつも無口なおばあちゃんが
80歳過ぎのおばあちゃんがいました。 ほとんど車イス生活で、手は使えるものの食事や排せつは、介助し
PREV :
NEXT :
二人の夫婦愛に感動