お父さんいかないで・・・

おば夫婦私の母方のおばについての話です。

おばは長年パートで飲食店で働いており、朝、息子さんのお弁当を作ってから出かけ夕方まで働き、帰ってきては主婦業をするというとても働き者な方です。
そんなおばが定年退職で辞め、息子さんもお嫁さんをもらって第二の人生を歩むところ、そんなころのお話しです。

ある日おばの家を母の姉が訪ねたときのことです。
いつもどおり何気ない会話をおばとしていました。その時は何もおかしいとは思わなかったのですが、母の姉が「お魚を知人からもらったから晩御飯に煮物でもどうぞ。」と渡すと、

「なにそれ?私作ったことない」と。

今まで料理をしていたおばが言ったのです。お姉さんは初めは冗談でしょ、と思っていたのですが、日が経つにつれ症状が酷くなっていきました。
おばは息子さん夫婦と同居していたのですが嫁姑の仲が悪かったようで、家の中でじっとしてられずウロウロしていたり、間違って失禁してしまったたり、時には激しい罵声を浴びせていたと言います。
それをかばっていたのは、旦那さんでした。旦那さんはパチンコなどが大好きで決して世間ではよい旦那さんとは言えないかもしれませんが、おばが病気になってからは、献身的にお世話をするようになりました。

そんな時悲劇が起きました。

旦那さんにガンが見つかったのです。検査の結果は悪性でした。手術が必要と言われていましたが、奥さんの面倒をみるため通院と、薬で対応していました。
しかし、旦那さんはのガンの状態は回復せず、全身に転移してしまい間もなく亡くなったのです。

お通夜とお葬式に私も参加しましたが、久しぶりに会うおばは、すっかり変わってしまい症状も話を聞いてたのよりかなり進んでいました。
棺桶に入っている旦那さんを見ておばは「なんね、寝とうとね」とお通夜の時には笑っていました。
おばの姿を見て、胸が締め付けられるような悲しみを覚えたと同時に、病気というものはここまで人を変えてしまうのか、ほんとうに恐ろしいと思った瞬間でもありました。

次の日葬儀が始まり、焼香をあげる時もお経をあげてる時もじっとはしておらず笑っていました。出棺となり、親族一同最後のお別れをする時が来ました。

その時です、おばが棺桶をのぞいて、

「お父さん、私を置いていかないで」と号泣したのです。

びっくりしました。その時、おばにとってお父さんが亡くなったと認識できたのです。親族一同びっくりです。その後はいつものおばに戻りましたが、確かにあの瞬間のおばは元気な時のおばでした。


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