成年後見の法定選任の種類
成年後見人、保佐人、補助人
成年後見人制度で、被対象者を保護をする人物は、『成年後見人』と『保佐人』と『補助人』がいます。
ちなみに三つとも、法令文には「精神上の障害」と書かれていますが、認知症、知的障害、精神障害など総評して言っているので、精神障害でなければいけないということはありませんので安心してください。
『成年後見人』
精神上の障害により「事理を弁識する能力を欠く常況にある者」を対象とします。
『保佐人』
精神上の障害により判断能力が「著しく不十分な者」を対象とします。
保佐人は成年後見人と違い、特定の範囲での同意や取り消ししかできません。
詳しくは以下の通りです。
1.貸金の元本の返済を受けること。
2.金銭を借り入れたり、保証人になること。
3.不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。
4.民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。
5.贈与すること、和解・仲裁契約をすること。
6.相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。
7.贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。
8.新築・改築・増築や大修繕をすること。
9.一定の期間を超える賃貸借契約をすること。
『補助人』
精神上の障害により「判断能力が不十分な者」のうち、後見人や保佐人の保護程度に至らない「軽度の状態」にある者を対象とします。
補助人は他とは少し違います。取り消しや代理の申立時に被補助人本人の同意が必要です。その代り原則として診断書等で鑑定は必要ありません。
何故このように三段階としているかというと、成年後見制度の基本理念により、簡単に言うと、「できることは自分でできる」必要があります。しかし、一言で判断能力に不安があると言っても、病状によって程度の差は大きく違います。そのために、三段階のクッションを敷いているわけです。
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© タイトル:ブラックジャックによろしく 著作者名: 佐藤秀峰 サイト名: 漫画 on web URL: http://mangaonweb.com/
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