認知症でどうしても薬を飲みたいという方への対処方法
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薬, 認知症の正しい介護間違った介護 エピソード, 認知症
別のお話で登場した、認知症で排便の記憶がないおばあちゃんのその後のお話です。おばあちゃんとのやり取りはずっと続きました。息子さんがいらっしゃるので、若い男性スタッフを息子さんとだぶらせる時もあるため、そのスタッフともノートのやり取りができるようになりました(※前回エピソード参照)。
認知症の方が必要でない薬を飲むといって聞かない場合の対応。あなたなら?
しかし、ある日です。認知症のおばあちゃんから、再び腹痛がするから下剤を飲ませてほしいという訴えがありました。前日に下剤を飲んでいただき、しっかり出ており、本人にもノートに薬を飲んだことを記入していただいたので、本人も下剤を飲んだことは理解できているのですが、それでは収まらない時がありました。
薬を飲ますだけが解決法ではない。臨機応変に対応しましょう
先輩に相談すると、「以前の施設でやっていたことがあるからそれをやってみるわ!」と、言われたので、先輩がやることを横で見ていました。先輩は白い折り紙を四つ折りにして切り、小さな正方形の紙を作りました。そして、そこに白い粉をほんの少し入れ、昔の薬の様に包み先輩はそのおばあちゃんに言いました。「これは頓服なので一日に一回しか飲めません。しかしよく効くので、これを飲んで様子をみましょう」と飲まれました。
そうすると、時間が経つと落ち着かれ、訴えが無くなりました。もちろん、頓服を飲んだことも例のノートには書いていただきます。おどろいて先輩に「何の薬を渡したんですか?処方されてないですよね!?」ときいてみると、「あれは、コーヒーに入れるミルク代わりのクリープだよ」、と言われました。
初めはびっくりしました。そんなもの飲ませていいのかと。しかし、先輩は続けてこう言いました。「毎回の訴えのたんびに出していたら、体に支障がきたすけど、ほんの少し、スプーンに小さじ半分くらい程度の一回と決めることでコーヒーを飲んだくらいと変わらないから支障はきたさないのよ、私もこれは以前働いていてたところの医師に教えてもらったのよ。」と。
一人ひとりに合った対応が必要。もちろん事前に医者には相談してください
クリープに抵抗があるなら、砂糖をほんの少し包んであげるのもよいとのことでした。飴を一つ舐めたと思う程度の糖分より少ないですし。いくら白いからと言って塩はダメです。塩分が強すぎますから。男性スタッフが間違って塩をあげてしまい、のどが渇いたとその後訴えが続きましたし、体にはよくありません。抵抗ある行為かもしれませんが、頓服というと、その方は安心するので、その方には体に支障がない物を提供していました。その方に合った対処の方法が必要だと思います。
もちろん何かを与えるときは、問題がないか事前に医者に相談することも忘れないでください。
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